気紛れな相談屋のようです 第一話「憎悪的ラブレス」
「さんざん、愛してるだのなんだの言っておいて、籍はいつ入れるか、なんてことも言っていたくせに!」
「なるほど、で、手酷くふられたと」
「そうよ!それでも私が諦められない、考え直してくれって言ったら、あいつ何したと思う?私を殺したのよ!話がしたいなんて言って呼び出しておいて、いきなり後ろから殴られて・・・今頃私の身体は海の底で魚の餌になっているでしょうね!」
「それで悪霊になり、彼を呪い殺したい、と?」
「そうよ!何か問題ある!?あんたあいつに私をどうにかするように頼まれたんでしょ!邪魔するなら…あんたから殺してやる!」
怒りの矛先が星田に向く。明らかな殺意と敵意を持って星田を睨みつける愛。
「まあまあ落ち着いて。結論から言えば僕は彼を助ける気はない。だってまだ対価を頂いてないから。もっと言えば、彼は僕に嘘を吐いた。僕は嘘吐かれるのが一番嫌い。さらに、君みたいな美人さんを悲しませるような奴は気に入らない」
「…ずいぶん適当な相談屋ね」
きょとん、として愛が言う。無理もない。
「僕だって人間。助けたい奴、助けたくない奴は当然居る。そして今回の場合、僕は君の方を助けたい。悪霊になって現世をさ迷うのは苦痛の極みだ。早く天国に行ってもらいたいからね」
「…協力してくれるの?」
「対価をくれれば」
「私にあげられるものなんて…」
作品名:気紛れな相談屋のようです 第一話「憎悪的ラブレス」 作家名:ティオ