気紛れな相談屋のようです 第一話「憎悪的ラブレス」
「だってほら、誠意を見せたほうがいいかな、なんて思って。ま、今までに得た対価で寿命なんか腐る程あるから別段惜しくないっていうのもあるけど」
「・・・それは誠意を見せることになるの?」
「誠意ってのは示す人が決めるものさ。寝そべっていようが全裸だろうが心から誠意を示していればそれはそれでオーケー。逆にいかに外面を取り繕っても心の中で適当な事を考えていたのなら、それは全くの無意味!そう思いませんか?」
饒舌に詭弁を振るう星田を見て、彼女は諦めたようにため息を吐き、コーヒーを啜った。
「で、私になんの用なの?」
「ちょおっと待った、まずは自己紹介から。僕の名前は星田和也。見ての通り、相談屋だ」
「…私は重石愛」
「オモシ?変な名字だ!」
星田の不躾な言葉に顔をしかめる愛。
「よく言われるわ」
「じゃあ愛さんと呼ぼう。さて愛さん。あなたに聞きたいことがいくつかある」
「何よ」
「何故あの男を襲う?彼に聞く限り、襲われる理由はないが」
「…あいつは何て言ったの」
「喧嘩の末自分はふられた。その後君が自殺した、と」
「よく言うわ…ふったのは向こうなのに。ましてや自殺ですって?とんだお笑い草だわ!」
「詳しく聞かせてもらえますかな」
「喧嘩したのは本当よ。理由はあいつが浮気をしてて、その浮気相手と結婚するからって」
「ふむ」
作品名:気紛れな相談屋のようです 第一話「憎悪的ラブレス」 作家名:ティオ