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気紛れな相談屋のようです 第一話「憎悪的ラブレス」

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 何も無い真っ暗な空間。どのくらいの広さなのかも、何かがあるのかもわからない。音も匂いもない。完全に五感の機能を奪ってしまうような闇である。
「お話をするのに真っ暗はいただけないな」
 星田の声が響いたかと思うと、いきなり空間が明るくなった。そしてよく見ると、ソファーやテーブル、本棚などが置かれている。間接照明や観葉植物も置かれているようだ。まるでどこかの応接室のような景観になっている。星田が腰掛けるソファーの向かいのソファーには一人の女性が座っていた。濃い目の茶色のロングヘアーの、大人しそうな女性だ。やや長めの前髪で目許が隠れているが、中々に美人のようだ。
「さて、まずはお礼を言わせてもらいましょう!よくぞ承諾してくれましたね、あなた死んでるから寿命なんてって文句言われると思ったんですが」
 星田が笑いながら言う。確かに、死んでる人相手に寿命を払っても意味はない。星田の寿命が無駄に減っただけである。
「…よく言うわ。あなたあの時点で寿命を一時間放棄したじゃない。応えなければ原則に反するわ」
「まあね!この世は全てギブ・アンド・テイクで成り立っている。何かを得るためには何かを払わなければならない。逆に言えば、何かを得ようとした者が退化を先に支払ったなら、相手はそれに絶対にこたえなければいけない、それには従わざるを得ない!僕が先に条件を提示して対価を払ったなら相手であるあなたは従わざるを得ない!上手く出来てますなあ!」
 ははは、と笑う星田。
「…あなたなんなの?」
「『価値の分かる男』です。普通の人は等価交換の原則はうすぼんやり理解していても、何と何が等価なのかわからない。だから神社に願掛けしても願いは中々に届かない。でも僕は何と何が等価なのか完璧に理解している。つまり、対価さえ払えば僕はどんな願いもかなえられるわけ。もっとも、僕の場合は少し特別でね、僕自身が払うはずの対価を、他者に払わせたりも出来るんですどね。ま、そんなことはどうでもいいのです。あまり自分語りをするのは好きじゃないしね!」
「・・・なら、何故わざわざ自分の寿命を対価にしたの?」