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鬼城 地球
鬼城 地球
novelistID. 15205
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アメンボ!! ~South vs. East~

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 部室へ飛んで帰ってきたアメンボは、西宮にすぐ話をした。

「トシ! 見ろ、あの暗号どおりだろ!?」
「アメンボ、落ち着いて……」
「「センパーイ、あとその暗号のP137の意味がわかってないじゃないですかー」」
「バカだな、わかってなかったら持ってこないだろ?」
「むぅ、バカじゃないですよー! マサの茶髪野郎!」
「そうですよ、マサの不良生徒!」
「そうか、余程お前らは俺を怒らすのが好きだな!?」
「マサ君、落ち着いてー!」

 いつも双子の姫路と加古川は喧嘩になる。それを止めるストッパーは播磨なのだが、播磨は何度かその喧嘩に巻き込まれたことがあり、正直喧嘩のストッパーを離脱したいと考えているらしいが、それはまだまだ先になりそうだ……
 そんな一年生の喧嘩をよそに、アメンボは本の百三十七ページを開いた。だが、そのページは……

「……白だ」
「!? なんだって!? そんな、まさか!」
「じゃあ、先輩の努力は……」
「水の泡に?」
「くそっ!!」

 ダーンッとドアに手を叩きつけ自分の努力が水の泡になってしまったことを悔やんだアメンボ。

「「センパイ……」」
「先輩、まだ考え方があるはずですよ」
「そうだ、俺たちももっと先輩の力にならないと!」
「そうだね、ただでさえ少ない人数だもんね……協力しなきゃ!」
「明石、人数が少ないは余計だ」
 
そうアメンボが茶化すように言ったが、そのあと一年生もアメンボも声をあげて笑った。
別に彼らは兵協部を兼部させられていることになんの違和感もない。
人数が少ないことにもなんの文句も言わない、ただ同志が少なくて悲しく思う事はある。
でも、それもいい経験なのだと彼らなりに理解しているのだ。

 そんな笑いの中に一人、本の百三十七ページを凝視していた部員がいた。

 西宮だ。

「アハハハッ……? トシ?」
「アメンボ、電気消して」
「え?」
「いいから」

 西宮の言われた通りに電気を消してみれば。本の百三十七ページがほのかに光り出したのだった。

「蛍光塗料だ、ページを眺めてたらやけに緑色に黄ばんでると思ったから」
「トシ、よくやったぞ!」
「なんて書かれてるんですか?」
「えーっと『夕暮れ映る影のレンガの下、風の音が聞こえる』? なんだこれ……」
「また暗号ですね」
「これは簡単だな」
「行こう、アメンボ」

 そう言ってアメンボと西宮は、部室を出ていった。