三剣の邂逅
男たちは実に執拗に追ってくる。それでも、非力な女と、剣を持たない剣士には、逃げ切るしかない。先程の煙玉を使いながら追っ手を少しだけ引き離した二人は、なんとか宿屋近くの広場まで辿り着いた。だが、ここには当面隠れられそうなものもなく、しかも追っ手の足音は、すぐ近くまで迫っている。
男たちが、流れるように広場へと走ってきた。
「ここへ入ったぞ」
「間違いないのか?」
「おそらく」
男たちは、わらわらと広場の中央までやってきた。
流れる雲が月を覆い、広場が俄に暗くなる。
リーダー格の男が、手元に火をつけた。残りの男たちもそれに習おうとして止められる。
「お前たちはいい。あまり目立つとまずい」
火を手にした男を先頭にして、男たちはライアとクローブを捜して広場を歩き回った。
草村から木の陰までくまなく捜したが、人の影らしきものすら見当たらない。
だんだん、男たちの間に、焦りの色が浮かんできた。
「おい、本当にここに逃げ込んだんだろうな」
明かりを持った男の苛立たしげな声が響いた。
「そのはずなんだが」
ここを突き止めてきた男の声は、自信を失いつつある。
「だがどこにもいないぞ。女連れだ。そうそう逃げられるはずはないんだが。何故見つからないんだ? 逃げられたら厄介だぞ」
男たちは辛抱強く捜したが、結局、広場で二人の姿を見つけることはできなかった。