三剣の邂逅
カーター=モンカルニの方も、クラークたち亡き後、実力で勝ち得た大使の責務を、忠実にこなしている。国内でも国外でも、彼の仕事に対する熱意と才能は好評だった。
今回の調査で、王弟、あるいはカーター犯人説の極めつけとなるような悪評は、皆無といえるような状態だった。
おまけに、二人が手を組んだ場合も想定してみたが、これといった繋がりは何も発見できなかった。叩けば埃が出るだろうとふんでいたライアとクローブは、すっかり自信をなくしてしまった。
「私、善と悪ってもっとはっきり分かれているものだと思ってたけど、そうじゃないのね」
ライアがため息混じりに呟くと、クローブも力なく答えた。
「ああ。俺もよくわからなくなってきた。一体何を信じればいいんだ」
「完全に行き詰っちゃったね。これ以上新しい情報もないし。これから何をどうしたらいいかもわからないわ」
「俺もだ。ジュスイが証拠らしいものを何も掴めなかったのがよくわかるぜ。俺たちの場合、年月が経ちすぎてるってのも不利だよな」
「そうね。その当時なら、もっと気付くことがあったかもしれないけど。十年だものね」
しばらく押し黙って飲みものに口をつけていた二人だったが、どうしようもない。先に立ち直ったのはクローブだった。
「ここで落ち込んでいても状況は変わらないな。俺たちがしなきゃならないのは、一人でも多くの犠牲者が出る前にランディを止めることだ。とりあえず頑張って、また残りの五人の情報を集めようぜ。こういう時だからこそ、焦らずに、な」
「……そうね、それしかないわね」
「そろそろ戻るか」
剣を掴んで席を立ったクローブに続いて、ライアも出口へ向かう。
二人が出る時、店は集まってきたお客で明るく賑わっていた。
だが、一歩出ると、外は闇の衣を纏ったように、不気味なほど真っ暗だった。