「セックスアンドザシックスティーズ」 第十二話
「じゃあロビーでコーヒー頂きながら待ちましょう」美紗子の言葉に典子は続けた。
「デザートは恵子さんの話よね?美味しそうだから・・・」
「典子さん!やらしい言い方するんだから」
「恵子さん!やらしい事したんでしょ?しっかり聞かせてもらいますからね」
「朝から品がないですわよ、お二人さんッたら」美紗子が笑う。
「1人だけいい子ぶって・・・本当は一番聞きたいんじゃないの?」
「典子さん!私は・・・ソフトに話してもらえたら聞けるかも知れませんが、赤裸々なのは困ります」
「聞き間違えたのかしら?とてもおばさんの言葉だとは思えないけど」
「典子さんも、美紗子さんも、やめて・・・正直にあったことだけ話すから。でも映子さんが来てからにする。また同じ事言わないといけないから」
「ええ?それまでお預け・・・せめて名前だけ教えて。何さんって言われるの?」
「犬飼さん・・・高志さんって言うの」
「犬飼さんね、覚えておこう。どこの人?」
「静岡って言ってた」
「静岡県?それとも静岡市?」
「多分静岡市だと思う」
「美紗子さんと近いね。ふ~ん、歳は?」
「59歳」
「一つ下か・・・じゃあまだまだ元気だね?そうだったでしょ?」
「なにが?」
「なにが?は無いでしょ!もう、しらける」
「映子さんが来てからって言ったじゃない」
「はいはい、そうしましょう。ところで今日はどうする?映子さんの車で近くにドライブでも連れて行ってもらおうか?」
典子の提案に美紗子はうなずいた。
作品名:「セックスアンドザシックスティーズ」 第十二話 作家名:てっしゅう