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狂言誘拐

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「急がば回れです。お願いします」
「わかったわ。百十九番ね」
 亜矢子は携帯電話を使って連絡する。なかなか繋がらなかったが、出動要請してから十分後には救急車がサイレンを鳴らしながら到着した。救急隊員によってタンカで救急車の中に運び込まれ、病院へ向かった。亜矢子は小野寺の車で救急車を追うことにした。梱包材量の店の前に放置して、駐車違反にされたら厄介なことになるからだった。救急隊員には黄、または赤信号で停止することを約束してもらった。
 金曜日の道路はやはり渋滞する。日本全国どこでもそうなのだろう。
「痛み止めの注射を腰に打ってもらうだけなんですが、この中では無理ですか?」
「勝手にそういうことはできません。もうしばらく我慢してください」
 救急隊員も中野もマスクをしている。救急隊員が中野のマスクを外そうとすると、病人はかたくなに拒んだ。救急車の中で横になっていると、窓からは空と電柱と電線と、信号機が見えた。この辺りには高層ビルなどというものはなかった。午前十時半になっても、車はまだ渋滞の中にいた。病院で注射を打ってもらえば、一時間半程度で腰の痛みは止まる筈だと、中野は思った。
 うとうとしているうちに病院に運び込まれていた。疲れが蓄積していたのだと、中野は思った。若い医師によって痛む場所、過去の病歴、アレルギーの有無などの確認が済むと、
希望どおりに患部に注射をしてもらった。以前運び込まれた病院と、今回の病院とに繋がりがあったらしく、親しげな電話連絡などもされて、処置はスムーズに行われた。
 
作品名:狂言誘拐 作家名:マナーモード