小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
マナーモード
マナーモード
novelistID. 29058
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

狂言誘拐

INDEX|64ページ/117ページ|

次のページ前のページ
 

「あれはじゃじゃ馬だから、下手に踏みこんだらコースアウトよ。いつものタクシーのほうが安心だと思うわ」
「そうですね、Uターンをうまく組み合わせれば、ジェットヘリだって振りきれるかも知れませんね」
「ボートはどう?」
 亜矢子のそのひとことに、中野は感心しないわけには行かなかった。ボートで海に出て、ヘリから投下される現金を待つ。それを回収したら、暫くは釣りでもしながら海の上を漂っていれば良い。燃料切れが心配になればやがてヘリは帰って行く。暗くなったらどこかの砂浜にボートから上陸する。その近くの松林の中に、元タクシーだった車が静かに待っている。
 中野は、いいですね?と確認してから車をモーテルに入れた。機械からルームキーが出た。そこは全部が一戸建てになっていて、それぞれに入場ゲートと駐車スペースがある。出るときに管理人がいる棟の横で料金を支払うことになっているらしい。精算が済むと出口のゲートが開くことになっているのだろう。
「岩手の地図がありましたね」
 車を停めると中野が云った。
「ああ、あるわよ。はい、岩手に行くの?」
「でっかいアイナメが釣れるって、岩手出身のひとが云ってたんです」
「釣り?だめよわたし。魚にもミミズにもさわれないもの」
 中野は地図帳を開いて暫く見ていた。
「ああ、ここかな?浄土が浜。陸中海岸国立公園の中ですね。時期的にまだ早いかな?ここに貸しボート屋がある筈です。釣りは私だけやります」
「ずるい。わたしだってやりたい。きれいなところでしょう」
 
作品名:狂言誘拐 作家名:マナーモード