小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
マナーモード
マナーモード
novelistID. 29058
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

狂言誘拐

INDEX|15ページ/117ページ|

次のページ前のページ
 

「驚かないでくださいね。わたしをね、誘拐して頂きたいの」
「誘拐?!」
中野はその熟語の意味を把握すると驚きを隠せなかった。
「声が大きいわ。誰かに聞かれたらどうするんですか」
 周囲の様子を確かめてから、亜矢子は中野の耳元で「実はね、二億円が必要なの」と温かい息を吹きかけながら云った。
 中野は体内に何かが走るのを感じた。
「二億円?!」
「だから、そんな声を出さないで!」
「聞き間違いだといいんですが、あなたを誘拐をして、要求する身代金が二億円ということですか?」
 どうやら狂言誘拐という手段で、夫から莫大な金を騙し取ろうという話らしい。
 公園内には観光客らしい数組が写真を撮り合ったりしていたが、ふたりのところからは数十メートルも離れていた。
「驚きました。めちゃめちゃ驚きました……こんなに驚いたことはありません」
「でも、どうか、お願いします」
 中野の心臓の鼓動は急に早くなった。
「いやですよ。何を云ってるんですか。犯罪者になるのはいやです。そういうことは誰かほかの人に頼んでください。昨日一緒だったひと。彼はだめなんですか?」
「わたしの知り合いだと拙いから、運転手さんにお願いしているの!」

 
作品名:狂言誘拐 作家名:マナーモード