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狂言誘拐

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  走り出してから中野は気が付いた。挨拶をした守衛は、一週間余り前に蒲田から大きなバッグを持って乗車した客だった。
「あのおんつぁん、この前の乗客だよ」
「それ、宮城のことばですね」
「聞き取りにくいけど、方言が消えて行くのは寂しいことだね」
「それにしても、随分咲きましたね。殆ど満開ですね」
 小野寺は如何にも嬉しそうな声で云った。栗原家の大邸宅の玄関までの道は、花見をしたいくらいにきれいに咲いた、桜並木だった。
「凄いね。ずっと桜のトンネルだ」
「この下で一杯やりたくなりますね」
「そうだね。やっと意見が一致したね」
 駐車場で車庫入れをしていると、ピンク色のロングドレス姿の亜矢子がにこにこ顔で玄関から出て来た。
「お久しぶり。ふたりとも元気そうね」
「こんにちは。ご要望通り、画伯の付き添いで参りました」
 小野寺も笑顔でそう云った。
「へえ。あんた、そんな洒落た口きく男だったんだね。ちょっと嫌味っぽかったけど……」
「まあ、仲良くしましょう。今日はわたしがお昼を作ったのよ」
「それを試食させるために我々は呼ばれたんですか?」
 
作品名:狂言誘拐 作家名:マナーモード