小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

「レイコの青春」 10~12

INDEX|3ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 



 「皆さんにも、そんな時期がありました。
 レイコさんも、うちの幸子もあの美千子さんまで、
 デモに参加したくらいですから、
 激動の時代からの良いメッセージのひとつだと思っていました。
 若い人たちが、政治に興味を持つのは貴重なことだと思います。
 それにしても、米軍支配下の沖縄まで行くというのは、
 只事ではありません。
 そのせいなのかしら、レイコさんまで、
 おとなしくなってしまったのは・・・
 でも、待ってるばかりでは、せっかくの資質が錆びてしまいます。
 レイコさんに、『待っている女』は、似合いませんねぇ~
 どうですか、彼の帰りを待っている間に、
 もう一度だけ、あなたご自身の夢を取り戻されては。」


 「それは、私に、
 初心に戻って、もう一度、
 保母を目指せということでしょうか?」


 「ご明察です。
 あなたも、やはり聡明な女性です。
 これからの時代、女性が男たちと同じように、社会へ進出するためには、
 ゼロ歳児や一歳児の保育施設が、もっとたくさん必要になります。
 これからの時代の育児は、家庭内や母親だけの責任では足りません。
 未来を担う子どもたちを育てると言うことは、
 これからは、社会全体で責任を担うべきとなる大きな課題のひとつです。
 眠ってしまったレイコさんの夢を、
 もう一度、自分自身で揺すり起してみてはいかがですか。
 保育は、これからの時代をつくりあげるためにも、
 きわめて大切で重要なお仕事に、必ずなると私は考えています。
 きっとあなたのやり甲斐も、そこで見つかると思います。」



 「いまからでも、間にあうのでしょうか?」



 「気がつけば、その時がいつでもスタートラインになります。
 生きている限りは、その勉強は続きます。
 それに、若いうちは無限の可能性があるはずです。
 眠らせてもいけません、
 なでしこ保育園も、まだまだ夜明け前ですが、
 レイコさんにも、たくさんの可能性と時間が残っているはずです。
 どうです?
 レイコさんにもなにかが、
 あらためて、見えてくるといいですね。」


 こちらへいらっしゃいと、園長の目が誘っています。
こうなると、話好きの園長先生は、歯止めがきかなくなってしまいます。
覚悟を決めたレイコが、園長先生の隣へ腰をおろしました。