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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その5】完

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【お前も消滅してもらう!】
 ミシェルはボスへ向かい両手を翳(かざ)す。だがその瞬間ボスはミシェルに飛び掛る。すぐにミシェルは下へ回り込み、そこへ再びボスが飛び掛る。それをミシェルはするりとかわす。

【わしも嘗(な)められたものじゃの。その姿のままで生き延びれると思わぬことじゃ】
 そう言ってボスは大きな口を開け、ミシェルに飛び掛る。だがミシェルは避けきれず、足にボスの鋭い牙が当たる。

「ミシェ…!」
 私は今すぐにでも駆けつけるつもりだった。
 だが、雄吾は痛々しい体で私の腕を掴み、引き止めた。
「咲夜!お前が出てってどうすんだ!」
「だって…!」

 私はどうにも居たたまれなくなり、脳裏で叫んだ。
【ニズ…!】
 上空で態勢を整えたミシェルは、足に深い傷を負っている。そこから垂れる血が、海へ落ちてゆく。
【ミシェ!なんでニズにならないんだ!】
 その瞬間こちらを見たミシェルは、大きく目を見開き叫んだ。
【咲夜!!結界を!】 
 私が驚く間もなく、海岸に倒れていたはずの狼が木の陰から私に飛び掛ってきた。
「咲夜!」
 私の腕を掴んでいた雄吾が、私を引き寄せる。
 私は慣れない手つきで結界を張る。結界は火花を散らし、狼を砂地へと叩き付ける。

【上手くなりましたね】
 ミシェルは少し微笑んだ。
 だが私はそんなことよりも気になってることがあった。
【ニズ!ニズになれよ!】
 変化を促してもミシェルは変わろうとしない。


「…ッハァ〜!……あ…ぶねぇ……!」
 声を裏返したような声で雄吾が言う。
 私はその雄吾の痛々しい胸倉を掴んだ。