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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その5】完

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 【さぁ、それを使って下さい!】
 そう言われて恐る恐る手元を見てみた。
 にわかに抑えられた光に包まれた剣。白く輝く剣。柄の部分にはダイヤモンドのような宝石が散りばめられている。どちらかと言うと短剣というカンジの短めの剣は、私の手にしっくりと収まっていた。

【それであなたを繋いでいる鎖が切れるはずです!】
【わかった!やってみるよ!】


 ……と、その時ふと気が付いた。
【って、ミシェ……前みたいにはここへ来れないのか……?】
【すみません……今は………とにかく早く表層へ出てきて下さい!そして、表層へ出たらすぐに結界を張って下さい!】
【う…うん、わかった!】
 ミシェルの様子がおかしいと思ったが、すぐに逢いたくて急いで鎖を剣で切り裂いた。 
 それはとてもキレがよく、まるで糸を切るかのようにたやすく鎖を切ることができた。
 切り離された鎖は泡の渦となり、重ねられた岩場に大きな隙間を作る。
 私はそれらの泡が消えてなくなる前に、岩場の隙間を潜り抜け海の上へと泳いだ。



 海面から顔を出す瞬間、潮の香りがした。
 だがそこは海の上ではなく、雄吾の腕の中だった。それも血だらけの雄吾の腕の中。
「雄吾!どうしたんだよ!何があったんだ!」
 驚いた私はすぐに起き上がり、座り込んだままの雄吾を見た。
 雄吾は頬の辺りを血に染め、首筋から胸、腕にかけて大きな傷をつけている。もちろんそこからも大量の血が流れる。そして血が流れ落ちたのは、砂の地面。

 私は傷一つなかった。