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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その5】完

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「そうだ!ニズホッグ!これ、ニズホッグの紋様だ!なんでこれが……?」

 しばらくその紋様を見ていると、どこからか声が聞こえてきた。
【咲夜…!…咲夜……!】

【あっ……!】
 久しぶりに脳内に響くその声を聞いて、私は涙ぐんだ。
【ミシェ!私はここだ!ここにいるよ!】

 本当によかったと思った。

 居ても立ってもいられなくなった私は、そのまま冷たい岩場の隙間から外を眺め、必死にその声のする方を探した。
【私、ここから出られるのか?】
【出られます!それより大丈夫ですか!ケガはないですか?】
 ミシェルは何か慌てたように話しかけてくる。
【うん!大丈夫だ!】
【よかった……ニズの紋様が出たんですね】
【これ……もしかしてミシェルの紋様?】
【そうです、僕の……僕だけの紋様です!それより早く戻って来て下さい!】
【あっ!雄吾は!ラシャはどうしてる?さっきの狼は大丈夫だったの?】
【どうしてそれを!】
【わからない……ここでラシャと入れ替わった時、なんか……水の膜ができて……】

【そうですか……もしかしてまた涙を……?】
【なっ…泣いてねぇよ!】
 私は慌てて否定した。

【そうですか……それはラシャの能力です。本体には出られないとしても、表層意識のすぐ近くまで来られるんです。意思疎通ができなくても、表層意識と同じように世界を見ることができます】
【ラシャの……?】
【もしかしたらラシャが術をかけたままでいてくれたのかもしれませんね】
【そうか……後で礼を言わなきゃ……で、雄吾たちは?】

 ミシェルは言葉を詰まらせた。
【それより……今なら表層に出られます!あのハンカチを出して下さい!】
【え!ハンカチ?】
【しっかり掴んでて下さいね!】
 するとハンカチからダークグリーンの光が放たれる。
【うわ…っ!】
 眩しい光が徐々に全身を包む。そして再び手元へと光が集まってゆく。