~双晶麗月~ 【その5】完
これは…僕の生き方はまさに[負]そのものだと思った。僕はなぜ生きているのか、僕はなんのために生まれたのか、それからずっと問い続けた。そして[負]になりたくなて、[真]になるために、さらに敵とされる狼一族を憎み、消し続けてきた。
だからフィルを消した時、本当に驚いたんです。敵である狼一族の手下となったフィルグスを僕が消した時のあなたは……知らなかったとはいえ、とても悲しんでいて……フィルグスを本当に必要としていたんだと、初めて知ったんです。そんな相手がいる…そしてそれを本当に信じている……僕は自分の生き方を恥じました。そしてこれからの生きざまを変えようと考えました。本当の[真]となるために。
だから僕はそんなあなたを…僕を変えてくれたあなたを護りたいと思った。
最初はラシャの開放の時までと思っていましたが…いつのまにか永遠に生きていてほしいとさえ思いました。僕は……あなたと出会ったことで、本当に幸せでした。それなのにあなたには…傷つけることばかりをしてきて……。だから…これが僕にできる最後の償い」
そう言ってミシェルは、小さな白い小瓶を私の手のひらに乗せた。
作品名:~双晶麗月~ 【その5】完 作家名:野琴 海生奈