~双晶麗月~ 【その5】完
術の解かれたラシャはアースガルズへと向かった。狼一族は恐らく消滅したのだろう。
その後、足や腕が傷ついていたミシェルは、自己治癒の術を施した後、雄吾のケガの治癒を行う。
「すみません、ここまでしか……」
「ありがとな。こんだけ治りゃ、あとは自然治癒だ」
そう言って雄吾は立ち上がる。
「雄吾君ならすぐに完治するとは思いますけどね」
「おぅ!当ったり前だ!」
「あ。なんだか男の友情ってカンジになってる……」
私は横目で二人を見た。
「なんだ〜?ヤキモチ焼いてんのォ〜?なぁなぁ!どっちに?」
「うるせ!」
ニヤニヤしている雄吾の顔に、私はパンチした。
隣でミシェルが微笑んでいる。
私たちは大きな安堵に包まれていた。
「ミシェ……」
そう言いかけた私に、ミシェルは再び優しく微笑む。
「さ、行きましょうか」
そう言ってミシェルは私たち3人の周りに風を巻き起こし、瞬間移動をした。
着いた場所は私の家だった。
作品名:~双晶麗月~ 【その5】完 作家名:野琴 海生奈