Haus des Teufels
§ クロコちゃん §
仕事を終えて部屋に戻り、黒猫を抱いて窓を開けた。
まだ冷たさを残した外気が、部屋の中に流れ込んだ。
美しい女性の髪のように、ほのかに香り、滑るように潤っている。
私は、夜の空気が好きだ。
真子からメールが来ていた。
“マスターさまへ。
クロコちゃんを引き取ってくれて、ありがとうございます。(=^_^=)
いつも新鮮な水とゴハンなのでクロコちゃんも、とても喜んでいました。
だけどネコ砂は、そんなに早く全部換えなくてもいいみたいです。
汚れたところだけビニール袋にいれて捨ててください。
それから悪いことをしたら、すぐ叱ってあげてください。
おばかさんなので、あとで怒っても、なぜ叱られたのか分らないと思います。
あとレースのカーテンでいいので外から見られないようにしてください。
おねがいします。m(_”_)m
真子より
ついしん( ̄(エ) ̄)ノ
前もって連絡していただけたら、みなさまいつ来られてもかまいません。
ただ、クロコちゃんは連れて来ないでください。(=TェT=) ”
彼女に、こんな饒舌な一面が有るのに、少し驚いた。
黒猫の名前がクロコちゃんなのは……少しも驚かなかった。
作品名:Haus des Teufels 作家名:中村 美月