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Haus des Teufels

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§ オッドアイ §

 
「お願いが……あるのですけど……」
 真子が、目を伏せながら言った。
「私の家に、来ていただけませんか?」
 オモチャのネズミが揺れていた。

「黒猫さんの事なら、気にしなくてもいいよ」
 私は、奥の二人の女性を見ながら言った。
「実を言うとね、前からネコが飼いたかったんだ。悪い女の人が近づかないようにね」

 由香里は両手の中指を立て、麗子はクスクス笑った。

「いいえ、あの……違うんです」
 彼女は暫らく沈黙した後、顔を上げ意を決したように言った。
「助けて欲しいのです」
 初めて、近くで彼女の目を正視した。
 そして、自分の馬鹿さ加減を痛切に感じた。

 オッドアイ(虹彩異色症)。
 彼女も黒猫と同じ二色の目をしていた。
 
 
作品名:Haus des Teufels 作家名:中村 美月