小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

Haus des Teufels

INDEX|20ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 

§ カウントダウン §


「榎さん、ドアのガラスを割って鍵を開けられる?」
 拓人が珍しく過激な発言をした。
 榎の拳と筋肉なら防弾ガラスでも打ち砕くだろう。

「それしか無いね。少し離れて下さい」
 榎が両手を組んだ。
 腰を安定させ、全体重を乗せて肘でガラスを突いた。
 銀行の金庫でも開けられそうな勢いだ。
 だが、鈍い音が響いただけで壊せなかった。
 
 何度も繰り返し試したが無駄だった。
 最後には体当たりまでしたが、ドアも開かなかった。
 額から、汗が流れ落ちていた。

「麗子、そのピアスは本物のダイヤ?」
 私は彼女の耳の大粒の石を見つめた。

「あたしがイミテーションを着けると思う?」
 察したかのように耳からピアスを抜き取った。

 一番大きいガラスにダイヤを押し付け、力いっぱい擦り下ろした。
 やはり、傷一つ残っていなかった。
 特殊なガラスでもドアでもない。
 ただの、魔力だ。

「拓人、ここの日没時間を調べてくれ」
 私が言うと同時に、拓人はPDA(携帯情報端末)を取り出した。
 彼は1秒間にキーを15文字打てる。
 PDAでも、そこら辺の女子高生よりは速いだろう。

「あと、約10分」
 彼が不安そうに私を見つめた。 

 総攻撃のカウントダウンが、始まっていた。
 


作品名:Haus des Teufels 作家名:中村 美月