小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

Haus des Teufels

INDEX|14ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 

§ 由香里 vs 柊 §

 
「私ので宜しければ、トレーニングウェアーを……」
 椿が申し出た。

「お構いなく」
 と、拓人が複雑な表情を浮かべながら言った。
「先輩。どうせ、その下はショートパンツなんでしょう?」

「な ん で、君が知ってるのかな?」
 由香里が片方の眉を吊り上げて詰め寄った。
 彼は死んだフリをしたが……無駄だった。


 客間に繋がる中庭に、全員場所を移した。
 まだ、厚い雲に覆われていたが寒くはなかった。
 群れをなすカラスが、鳴き声を上げることなく見物をしていた。
 給仕が手際よく、外のテーブルに飲食物を並べ終えた。

「久しぶりだな……戦う先輩を見るの」
 拓人がビデオカメラを構えていた。
「いつも瞬速だから、今日こそは!」

 ストレッチングをしていた柊の前に、スウェットパンツを借りた由香里が現れた。
 当人達だけが、緊張していなかった。

「よろしく、お願いしまーす!」
 と、由香里。
「お手柔らかに」
 と、柊。

 深々と対戦の礼をした後に……。

「いざ!」
 先手は由香里。
 獲物を見つけた猛禽類の急降下の速さだった。
 
 柊の整った顔が、妖しく笑った。
 
 
作品名:Haus des Teufels 作家名:中村 美月