Haus des Teufels
§ 外人部隊 §
強さにおいて、世界の軍隊の特殊部隊に限って言えば……
アメリカ海軍のNAVY SEALsやアメリカ陸軍のデルタフォース。
そして、イギリス陸軍のSASが有名だ。
だが、フランス陸軍所属の外人部隊は、意外に知られていなかった。
敵軍司令官に「こいつらは人間ではない、悪魔だ!」と、言わしめた部隊だ。
それは、以前のダーティーなイメージが残っていたからだ。
冷酷無情・犯罪者集団・敵前逃亡は、軍法会議無しでも死刑。
五年間の契約期間、脱走兵は世界中に手配され秘密憲兵によって逮捕。
ジュネーブ条約で傭兵制度は無くなった今でも、金で雇われた兵隊、と思われている。
これでは、映画会社が宣伝してくれないだろう。
外人部隊の精鋭を集めたのが、第2空挺連隊だ。
その中で、さらに優れた人物だけがGCPに配属された。
活動内容は非公開だが……
世界中48時間以内で展開し、その後24時間で必ず獲物を仕留めた。
彼女の本名は知らなかった。
入隊の際に、偽名を登録することが義務だからだ。
だが、コードネームの“Camélia”が、今でも一番似合っているような気がした。
私は言った。
「除隊したんだよ。もう民間人さ」
そう……。
もう、Majeur(少佐)ではなかった。
作品名:Haus des Teufels 作家名:中村 美月