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有明バッティングセンター【前編】

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「・・・・・」

「もしもし、ねぇ、いっちゃん? 聞いてるの?」

(まてよ? 追い出しコンパのあの時・・・あっ! あのバカ親父! あの冗談本気
にしたのか?)

「ああ、聞いてるよ。思い出したぜ、この前の追い出しコンパの時、安っさんと
隠れ酒して、酔ったついでに安っさんが、プロに入る気ないかみたいな事聞かれ
たんで、ドラフト指名してくれたらね、みたいな冗談言った様な気がする
・・・・・冗談じゃないぜ! まったく!」

「あははは、安田さんらしいわね! でも巷では話題の人になってるし、マスコミ
も大騒ぎしているわよ。このところ話題性の乏しいフライヤーズには久々のヒット
じゃないの。」

「冗談よせよ。こりゃ、冗談でしたじゃすまないぜ。どう収拾するよ。」

「決まってるじゃない、いっちゃんがプロに転向すれば良いだけじゃない。安田さ
んだって長年スカウトマンやって、目がなきゃこんなことしないわよ! 自信持ち
なさい。私だって、プロテニスの世界で一世を風靡したんだから、私より運動神経
の良かったいっちゃんが出来ない訳ないじゃない。」

「あのねぇ、姉貴、俺いま何歳だと思う? 35だぜ。そんでもって、今月36だぜ。」

「あら、そうだったわねぇ。いつまでもガキンコだと思っていたら、歳を取ったものね。」

「お袋みたいなこといってんじゃねぇよ。ひとごとだと思って・・・・ったく!」

「でも、DHだったら打つだけだから出来るんじゃない? 先祖代々受け継いできた(見える目)を持っている事だし。」

「うーーーっ、とにかく安っさんに電話してみるよ。 じゃあな。」

「ちょ、ちょっと待ってよ。この電話録音させてもらってるのよ。独占インタ
ビューってことでよろしくね。」

「おいおいおい、勘弁してくれよ! 全部流すんじゃねぇだろうな。」

「本格的なインタビューはこれからよ。 タダって訳じゃないわよ。貸したお金
チャラでどう?」

「乗った!!」

反射的に答えてしまった。
画して俺はこの後1時間の間、姉の質問に真摯に答え、安田への連絡が大幅に遅れ
ていったのだった。