有明バッティングセンター【前編】
西脇大悟 西大1校野球部監督。
この男、プロでは先発ピッチャーだったが、高校時代は4番も兼ねており、彼の
打ち立てた高校野球の最多ホームラン記録は未だ更新されていない程、バッティ
ングに関してもそれなりの実績を誇っている。何にでも興味を持ち、子供の様に
夢中になる彼の性格が災いして、薬物に手を出し、球界を追われたのである。
「来い!!」
いつになく真剣な顔つきで西脇が叫んだ。
キャッチャーの浩二と球種を決めるサインを交換し、小さくこくりとうなずくと、
健太は大きく振りかぶった。
「ズドーン」
渾身のストレートがキャッチャーミットに吸い込まれた。西脇のバットが空を
切った。 スピードガンの数値は時速150kmを示していた。文字通り超高校
級である。
作品名:有明バッティングセンター【前編】 作家名:ohmysky