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有明バッティングセンター【前編】

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俺のセンセーショナルな記者会見のお陰で、全国的にバッティングセンターブー
ムがやって来た様だ。テレビのニュースによると、全国のバッティングセンター
に、明日の一郎を目指す中年がマイバットを片手に通っているという事だ。うれ
しい限りである。我が、「有明バッティングセンター」もご多聞に漏れず、連日
多くのバッティングファンで溢れていた。

「カキーン、カキーン」

という音が、管理室にも心地よく響く。

浩二が作った100着のスタッフTシャツは、お目当てのお客さんが長蛇の列を
作り、俺がエレーナと源ちゃんの所に行った日に完売したそうだ。1枚3000
円で、原価が1500円だから、15万の儲けだ。浩二はそれを元手にさらに
100着の追加注文をした。どうやら、ねずみ算式に増やしていく作戦らしい。

(これで、支配人の浩二にも少しは小遣いをやれるな。)

ほくそ笑む俺だった。

浩二が、俺の写真をブロマイド化し、サインを書いてフロントで1枚500円で
販売したところ、これがまた飛ぶように売れた。200枚のブロマイドが1週間
で完売したのである。聞くところによると、俺がプロ野球で活躍すればするほど、
このブロマイドにはプレミアが付くそうだ。これに気を良くした浩二は写真をさ
らに1000枚を焼き増しし、持ってきやがった。そのせいで、管理室に缶詰め
となり、せっせとサインを書く日が2日も続いている。

(これだと体がなまってしまうなぁ。)

センターに出て、バッティング練習でもやりたいところだが、マシンはお客様優
先であるという事と、浩二から、

「社長はセンターに出ないで下さいよ。あまり顔を出しすぎると、カリスマ性が
なくなるっす。ブロマイドも売れなくなっちゃうっすよ。」

と言い渡されていた。