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有明バッティングセンター【前編】

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「変な人ね、周りから、変わり者って言われない?」

エレーナの問いに、

「他の人よりもちょっとキャパが広いだけなの!」

源ちゃん風に言ってみた。

「フフフ、お馬鹿さんね。 その目を私によーく見せてちょうだい。 睨めっこよ。」

そう言ってエレーナは自分に額を俺の額にぴったりとくっ付け、まじまじと瞳を
覗き込んで来た。

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まじまじと見詰め合う二人。
やがて、エレーナはゆっくりと瞼を閉じた。
それにつられるかの様に一郎の瞼も閉じて行った。
ブランデーグラスに入れたキャンドルがその寿命を終えようとしていた。

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(ま、眩しい。)

朝日が直接顔に当たり、俺は眩しくて目が覚めた。
昨日、カーテンを締めずに寝てしまったのか・・・・
待てよ、この窓にはカーテンが付いていない。ここは?

半身を起こそうと、腹筋に力を入れた時、右肩に重さを感じた。
そこには、エレーナが安らかな寝息を立てて眠っていた。

(本当に、幸せそうな顔だな。寝顔を見ると、まるで少女の様なあどけなさが残
っている。普段はかなり頑張って、そんな顔を見せないようにしているんだろうな。)

愛おしそうに、彼女の髪の毛を撫でた。

ふと、窓際に目をやると、俺と同じ鉢植えのクレマチスが朝日を浴びて凛と咲い
ていた。花言葉は「高潔」。利欲のために心を動かさない、美しい心。

この娘には、凛と咲き続けて欲しい。そして、その為に俺は降り注ぐ太陽の様に
輝き続けよう。

そう誓う一郎であった。