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有明バッティングセンター【前編】

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午後11時、エレーナのマンションに到着した。車を地下駐車場に入れ、エレベ
ータで彼女の部屋まで向かった。エレベータは入り口同様、ICチップを埋め込ん
だセキュリティカードと暗証番号無しでは入れないセレブな作りとなっていた。
高層マンションの21階にエレーナの部屋はあった。

「どうぞ。」

と言いながら彼女は自分の部屋の玄関を空け、私を先に中へと案内した。

玄関は小さめのホールになっており、玄関の戸口の狭さからは想像が出来ない程、
広い空間となっていた。

「ほう、すごいじゃないか。ちょっとした一戸建てと変わらないね。」

そう言いながら俺は靴を脱ごうとかがみ込むと、

「ここは、そのままお上がり下さい。私、小さい頃からウクライナで過ごしてき
たでしょ。だから、靴を脱いでお家に入る習慣が無いの。」

「そうなんだ、なんだか落ち着かないなぁ、俺は。純日本人だからなぁ。」

そういって、そのままリビングへと向かった。リビングは20畳程の広さで、突
き当たりの大きな窓からは星の光と、遥か下方に街の明かりがまるで宝石箱の様
に煌めいていた。ここまで高層になると、カーテンの必要は無い様だ。キッチン
は対面式になっており、カウンターには4つの丸椅子が備え付けられていた。家
族向けなのだろう。こんな広いところに一人ポツンと居れば、かなり寂しいだろ
うに。管理室の6畳一間の方が快適だ。

「コーヒー、入れるわね。」

エレーナはそう言い、対面式キッチンの奥へ行き、冷蔵庫からコーヒー豆を取り
出した。トラディッシュなコーヒーメーカの下に、アルコールランプを灯しなが
ら、いたずらな目で俺を見て、

「なんだか、新婚さんみたいね。私達」

と言った。