【無幻真天楼 第十三回・弐】雨が止んだなら
「ウラ、起きんかばかもの」
乱暴にタオルケットを奪い取られまだしょぼしょぼする目をこすった
「ラジオ体操開始20分前。一番乗りすんだろ? 坂田に先越されんぞ?」
「坂田はじぃちゃんとこいってるー…っくあああー…」
腕を上にあげると同時にあくびが出た
「操ちゃんも一緒いこ?」
「はぁ?; だぁれが中3にもなって小学生の輪ん中で腕を前から上げてェんとかやらんとなんねーんだよ; きゃーっか! …俺はこれからハル姉に仰せ使った境内清掃にむかうんだよ」
ごそごそと少し短めのハーフパンツを履いた操が口にくわえていたゴムで髪を頭のほぼてっぺんで括る
色素の薄い髪は朝日を浴びると金髪にも見えた
「つか京助おまえいいかげん夜中に俺の布団ん中潜り込んでくるのやめろよな? もう小学生だろ? 悠にも笑われんぞ?」
肩に白いタオルをかけて操が京助を見下ろしそして足で軽く数回つついた
「だって…恐い夢みんだもん…」
京助が口を尖らせてごにょごにょ言う
「んな毎日毎日恐い夢みんのかよ; ったく…」
はぁっとため息を吐いた操が足でタオルケットを部屋の隅まで蹴った
「ま…おねしょやらなくなっただけヨシとすっか…ほれ、遅刻すっぞ」
くしゃくしゃと京助の頭を撫で回して操が部屋を出ていく
京助がうれしそうに笑ったあと布団から飛び起きた
作品名:【無幻真天楼 第十三回・弐】雨が止んだなら 作家名:島原あゆむ