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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十三回・弐】雨が止んだなら

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「京助!!」
ちょっとだけガラガラとした声で名前を呼ばれた
曲げる度伸ばす度シンジンと痛む膝から流れた血はもう乾きかけていて肌にこびりついている
「京助!!」
さっきより近くでまた名前を呼ばれ伸ばそうとしていた足を止め顔をあげる
「み…」
自分に向かって駆けてくる姿を見て視界がぼやけて頬を涙が伝った
「みさおちゃあー…」
あーから後はもう何も話せなくてただ目から溢れる涙を拭うだけで精一杯の京助の前で操がしゃがむ
「みっみさ…っぇっえっ」
ひっひっとしゃっくりをあげながら泣く京助をみて操が京助の頭を撫でた
「…転んだんか」
京助が頷く
「どこで」
息をひきつらせながら首を振る京助に操がため息をつくと背中を向けた
「帰るぞ」
けして大きくも広くもない操の背中に京助が胸をつける
「っこらせっと」
操が軽く飛びながら立ち上がった
頭のてっぺんでくくられた操の髪が京助の額をくすぐる
「…鼻水つけんなよ」
「…うん」
ズビッと京助が鼻水を啜ると操の肩に頭を付けた
少し汗ばんでいる操の肌が心地よくて泣き疲れと歩き疲れからか京助の息が寝息へと変わった
「…ブッサイク」
チラっと京助を見た操がプッと笑う
「あーあ…重てぇ」
笑顔で呟いた操が石段に足をかけた



ただ寝てるだけにしか見えない京助の顔をしばらく見ていた緊那羅が操のタオルを腕輪をしていない右の手首に巻き付けた
そしてそのタオルに額をつけると目を閉じる
「操…京助を助けたいんだっちゃ…私も京助を助けたい守りたいんだっちゃ…だから…」
小さく言って緊那羅が顔をあげ宝珠の欠片に指を伸ばした
指が宝珠に触れたか触れないかという瞬間小さな欠片から溢れた大量の光が窓から外を照らし襖の隙間から家中を照らす
「っ…緊那羅っ!!」
腕で光を遮りながら阿修羅が緊那羅を呼んだ
しかし光の中心からの返事はなく

「…なん…だこれは…」
迦楼羅が驚いた表情で立ち上がった
「竜…緊那羅だね…」
矜羯羅言うと柴田が頷く
「覚悟決めたみたいですね…はたして…」
「緊那羅…京助…」
慧光が手を組んで目をつむり祈りはじめると母ハルミもそっと目を閉じて手を組んだ