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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十三回・弐】雨が止んだなら

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「何の用?」
廊下の壁に寄り掛かって矜羯羅が面倒臭そうに聞く
「…あのながらっちょ…」
「その呼び方やめてくれない?」
矜羯羅が阿修羅を軽く睨んだ
「…で?」
「指徳の…ことなんだけんな…」
「指徳…?」
聞かれた質問の意外さに矜羯羅が少し驚く
「指徳が…何?」
「…指徳ってさ…その…指徳のことわかる範囲でいいんきに…詳しく聞きたいんよな」
「…いいけど」
あからさまに作りましたな笑顔で言う阿修羅に何かを察しそれ以上突っ込むことをやめた矜羯羅が壁から背中を離した
「指徳は僕らとはまた違って…体をもっていなくてね…だから他人の体に移ることができるんだよ…慧喜の体に入っていたみたいにね…」
「慧喜の体の前に入ってた体について何かしらんかの…?」
阿修羅が聞くと少し何かを考えた矜羯羅が阿修羅を見る
「…あの体は…こっちの世界のもの…それくらいしかわからないかな…悪いけど」
「そうけ…いや! あんがとさんがらっちょ! タカちゃんごめんなー今がらっちょ返すからに」
阿修羅が茶の間をのぞいて一人ごりごりしていた制多迦に言った
「…阿修羅…?」
「タカちゃんまってるけの」
ひらひら手を振って歩きだした阿修羅の背中を矜羯羅がじっと見る
「…んがら?」
ごりごりすり棒を動かしながら制多迦が矜羯羅を呼んだ
「今…いくよ」
矜羯羅が茶の間に入り戸を閉めた