なにサマ?オレ様☆ 司佐さまッ!
二階とはいえ天井が高いので、普通の二階より高く、落ちればひとたまりもない。
「キャ……」
主の危険に、思わずコトハは声に出す。だが司佐は顔色一つ変えず、隣のバルコニーへと向かった。
「司佐!」
その時、異常を察知した昭人が、隣の部屋から出てきた。
「おっと、危ね」
最後にバランスを崩した司佐が、間一髪で昭人の部屋のバルコニーへと降り立った。
「何やってるんだ、司佐!」
「ヘヘ。懐かしいよな。この遊び」
「もう子供の頃じゃないぞ」
呆れ顔の昭人に、司佐は不敵に笑う。
「子供に出来たことが、今出来ないわけがない。それに、ここから来たから仕方ない。ドアには鍵をかけちゃったから」
「司佐。万一のことがあった場合、怒られるのは僕なんだぞ?」
「大丈夫だって。昔より背が伸びた分、万が一バランスを崩したって、今みたいにギリギリ飛び移れるからな」
「まったく! 勘弁してくれよ」
そう言いながらも、昭人は部屋に戻り、四角いテーブルの天板を持って来ると、それを司佐の部屋のバルコニーへとかける。
「……折れないだろうな」
いまいち信用していないように、司佐は昭人を見つめる。
「こんな夜に、壁の縁を伝うよりはよっぽど安全だ。大丈夫だよ、分厚いんだから」
「そうか」
司佐は足場となった天板の強度を叩いて測り、そして足をかける。
「じゃあ、おやすみ。コトハ、昭人」
天板はしなりながらも司佐の重みを受け止め、司佐は無事に自分の部屋へと戻った。
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
それぞれが興奮冷めやらぬ中、三人は自分の部屋へと入っていくのだった。
作品名:なにサマ?オレ様☆ 司佐さまッ! 作家名:あいる.華音