~双晶麗月~ 【その4】
私は叫んだ。
《ミシェ!ミシェ!私はここだよ!この中にいるんだよ!私はずっと海の中で……》
私はそう言いかけ、途中でやめた。
そうだ…ミシェルは『まだ早い』と言っていたのに、私はあそこへ行ってしまったんだ……。どうしよう……もし私がここにいるということにミシェルが気付いたとしても、ミシェルになんて言えば……
私の中に不安がよぎる。
《あっ……》
でも、ミシェルに『百年近くも待っていた』と言わなかったか?
まさか!……ミシェルがラシャの婚約者……?
ミシェルは続けて話す。
「あなたは[時期]も来ていないのに、咲夜からフィルグスの封印を奪ってしまった。それがどういうことかわかりますか?」
すると[ワタシ]の目線は右肩に移る。そこにはいつもの痣。
《あ!よかった!消えたと思ってたのに》
私はホッとしていた。
ところがそのすぐ後に、反対の左肩に目線が移った。そこにもまた同じ痣が……
《なんで!なんで両肩に痣があるんだ!》
私の脳裏に浮かんだのは、あの[白い悪魔]の両腕、白い羽根の翼だった。
白い悪魔となったラシャが待っていた婚約者はミシェル……
『婚約者はワタシの分身体を探している』とラシャは言っていた。
分身体ってまさか……!
作品名:~双晶麗月~ 【その4】 作家名:野琴 海生奈