~双晶麗月~ 【その4】
《これって告白!?困るッ!絶対困るって!大体雄吾に、そんな恋愛感情とか一切ないんだからッ!!やめてくれよッ!》
だが、私の腕は勝手に雄吾を抱きしめ返す。
「うん…私も」
って!ギャーーーーーーーーーーーッ!
全身から大量の火が噴出す思いがした。
だがさらにもっと追い討ちをかける。
お互い抱きしめ合っていた手を緩め、見つめあう。
やがて私の顔が雄吾の顔に近付いて………
ヤメローーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!
〈がちゃっ〉
リビングのドアが開き、ドアを開けた主が立ち止まる。ミシェルだ。
それはそれでマズイと思いつつも、スンドメされたことに大きな安堵を感じていた。
驚いた[ワタシ]は、慌てて離れる。
〈チッ〉
そして舌打ちをしたのは……私の口?
「何してるんですか」
怒りを抑え、冷めた目をして低く静かにミシェルは言う。
そのミシェルの服は、所々破れていて、血が付いている。
よく見ると傷を負ったようだが……その傷は治っている……?
なぜミシェルがそんな姿に?
そんなミシェルを見た雄吾もまた、驚きを隠せない様子だった。
「悪いんですが雄吾君、ちょっと出てもらえますか」
怒りを抑えて静かに言うミシェルは、開けたドアを手で押さえ雄吾に目で合図する。
相当怒ってるんだろうか……?
誰に……?
作品名:~双晶麗月~ 【その4】 作家名:野琴 海生奈