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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その4】

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「ミシェル!!」
 雄吾とラシャが叫ぶ。
 吹き飛ばされたミシェルはヒラリと床に着地する。左腕には大きな傷。そこから流れ出る血。 

「君たちは何をやってるんですか!ここは危険だ!すぐに逃げて!」
 ミシェルはそう叫び、黒いコートの裾を破ると、片側を口にくわえ、左腕の傷口を素早く結んだ。
 ラシャは不安そうに叫ぶ。
「ミシェル!!」

「だめだ!……ここでは狭すぎる!どこか広い場所へ誘導する!」
 ラシャの叫びも届かぬうちに、ミシェルはそう言って巨大な気配の方へ向かっていく。


 ただならぬ気配の方へ消えていったミシェルを、呆然と見つめるラシャ。そんな[ワタシ]の腕を雄吾は掴んだ。
「おい!行くぞ!」
「やめて!ミシェルが…!」
「お前さっきアイツが言ってたことわかんねぇのかよ!」
「ワタシが傷つけば咲夜も傷つくんでしょ!そんなことわかってるわよ!ミシェルもアナタも咲夜を護るために戦うんでしょう?」
「あのな!オレ、女には手ェ上げねぇって決めてるけどよォ!お前まじでムカつくわ!」
「だったら殴ればいいでしょう!それとも咲夜に傷がつくのがそんなに怖いの?」

「ふざけんじゃねぇっ!」

 雄吾は怒鳴った。今までこんなに怒りを露にしている雄吾を見たことがなかった。

「お前さ、アイツが何で戦ってるのか分かってんだろ?」
「でも……!」
「わっかんねぇやつだな!もういいよ!とにかく来いって!」
 そう言って雄吾は[ワタシ]を連れて、割れた窓ガラスの隙間から外に出た。
 ところがすぐに[ワタシ]は立ち止まる。

 何か、体がおかしい……? 
 特に両肩の痣の辺りが……ドクンドクンと脈打つように反応している……?