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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その4】

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 ミシェルは目を凝らし、何かを探る。そして、ある一点で視線が止まる。

「あっちか!」
 雄吾は急いでリビングを出ようとした。
「待って!君はラシャを頼みます!」
 慌ててミシェルは雄吾を腕を掴み、引き止める。
「ハッ!お前だけにイイカッコさせれるかっつーの!」
「お願いです!咲夜の体を護って!」
「『咲夜の体』…?」
「咲夜の戻る場所を護って下さい!そして……ラシャが傷つくということは、分身体の咲夜も傷つくということ。ラシャに能力を使わせないようにしなければ、ラシャは負の思念に飲み込まれ、その膨大な力で咲夜は消滅してしまいます。ラシャをフェンリルたちに近付けないようにして下さい!」
「なっ……それを早く言えよ!」

 雄吾は大きな体で[ワタシ]の体を囲むように、壁に寄り添った。
 それを確認したミシェルは、ひらりとソファーを飛び越え、隣のキッチンに向かった。


 ミシェルが部屋から出て行ったところで、雄吾が口を開いた。
「ラシャ…オレは咲夜が好きなんだよ。だから…オマエを護るんじゃねぇんだからな!」
 雄吾は照れたように自分の鼻を触る。

「ワタシこそ!好きでアナタに護られるんじゃないわ!今はミシェルの言う通り大人しくしてあげるけどね!」
「あぁ!そうかよっ!用が済んだらさっさと咲夜に体返せよっ!」
「そんなの最後まで生きてたら言いなさいよ!」
「ハハハ!オマエも結構言うじゃねぇの!さすが咲夜の本体だな!」
「本当は……アナタを使って咲夜を消滅に追い込もうと考えてた……そしてワタシは完全にあの海底に戻らなくても済むよう、ずっと考えてた……」

「待ってろよ。咲夜も助けてお前もちゃんと助けてやっから!」
 雄吾は照れたように横を向き、頭ほポリポリ掻いた。


 その時だった。
 大きな爆音と共に、隣のキッチンとの間にある壁に穴が開く。そしてそこからミシェルが吹き飛ばされた。