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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その4】

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「来るわ!」
 ラシャが叫んだ直後、大きく波打つカーテンの隙間から僅かな月明かりに照らされていたリビングが、一瞬にして暗くなる。

「な…!なんだよあれは…!」
 雄吾が見た窓の外には、雄吾が今まで生きてきた中で一度も見たことのないようなものだった。
「雄吾君!あれが見えますね?」
「あぁ!見えてるぜ!」
「それがフヴェルの水の効果です!」
「おぉ?!!おもしれぇもん見せてくれるじゃん!」

 雄吾が見たそれは、固そうな黒い毛がうっそうと生えた4本の柱…いや、足だった。そこからは妖気のような、ただならぬ気配が流れてくる。私が見た中でも、一番大きい気配をしていた。
 そしてその時ラシャの様子がおかしいことに、私は気付いた。

 両肩を強く押さえている。痣の辺り?
 何か反応があるんだろうか?
 同じ体の中にいても、私には何も伝わってこない。
 
 ラシャはそれを誰にも悟られまいとしているように感じた。

「雄吾君はラシャのそばにいて下さい!」
「ばかやろう!何言ってんだ!アイツ倒さなきゃなんねんだろ?」

「きゃっ!」
 その瞬間全てが大きく揺れた。隣のキッチンからは、激しく何かが割れる音。食器?
 ミシェルは、その揺れで倒れそうになっていた[ワタシ]を抱きとめていた。

「だめだ!結界を破られました!」
「何だって?」