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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その4】

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「………」
 だけど……無言の私。

《おい!なんで無言なんだよ!》
 私は自分の体にツッコミを入れた。だが、そのまま雄吾に抱きしめられたままの私。
 いつもの私なら間違いなくケリ入れてるんだけど!

 雄吾もなぜかしばらく無言……
 私の態度がおかしいと雄吾は気付いた?

 でも常日頃から、クチの悪い私が女らしくしたらかわいいのに、とか言ってるくらいだからか……なんだか妙に……

《妙に力いっぱい必要以上に抱きしめてないか〜っ?雄吾ぉ〜〜〜〜ッ!》

 そして私の腕は勝手に雄吾の背中へと回す。

《なんか……妙なシチュエーションだ………ヤバイ……》

 だが私はその状況にどうすることもできず、ただ抱きしめ合っているしかなかった。
 そしてしばしの沈黙のあと、二人は同時に口を開く。
「雄吾……」
「オマエさ!」

 雄吾は抱きしめていた腕を離し、私の両肩を掴んだ。
「オマエさ!なんで今日は殴ったり蹴ったりしないわけ?いつもやってんじゃん。オレがちょっと顔覗き込んだだけでも顔をすげぇぐいぐい押してくるくせによ」

《……悪かったな。いつも殴って蹴ってばっかりで!》

「そんなこと……私が雄吾にできるわけないじゃない」
 白々しく私の口から出る言葉。
 ありえない……絶対おかしい……これ……いったい誰が話してるんだ……?

 私は嫌な予感がした。