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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その4】

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「ふふふ……冷たいのね。[特別な術]でもかけてあげたいくらいだわ」
「それはあなたの術ではないのですよ?」
「例え狼一族から与えられたものだとしても、ワタシが使えばワタシの能力と同じよ」
「でもあなた程度の術など僕にはないに等しい。あなたにはコントロールされない。第一あなたは狼一族からの負の思念で覆われている。その時点で僕には何も効かない」
「[負の思念]? ワタシはワタシ、何も変わらないわ」

 ラシャはソファーに深く座り、窓際に立つミシェルを見た。ミシェルから放たれていた光はいつのまにか消えていた。

「アナタ…何のためにここへ来てるのかわかっているの?アナタはワタシのフィアンセなのよ?」
「それは僕の意思じゃない。フォルセティが決めたことだ」
「じゃあなぜここへ降りてきているの?[ワタシの分身体]を探すためでしょう?」
「僕はあなたが解放したら、フォルセティには婚姻解消を申し届けるつもりでした」
「なっ!なんですって?」
「あなたにはもっと相応しい人がいる」

 ラシャの中から怒りを感じる。それも憎悪のような……
「ワタシに狼一族の術をかけられているから……?」
「そうではありません。僕はただの[兵器]だ。任務を遂行することのみに生きている。フォルセティがどう考えているのかわかりませんが、あなたには僕を理解することはできないし、僕にはあなたを理解することはできない」
「そんな……!」

「……あなたは時期を早まったんですよ。それであなたが今どういう状態なのかわかっているんですか?ご自分でわかりませんか?普通ではない能力を身に付けたという感覚、[今までにはなかったもの]が沸いてきませんか?」
「えぇ、とても気分がいいわ!中から湧き上がるような高揚感!ワタシは自由よ!もう何ものにも縛られない!」
「違う!まだわからないのか!それは狼一族からの[負の思念]だ!狼一族にコントロールされているのがあなたにはわからないのか!」
「ミシェル、アナタ何を言っているの?」