戯曲 坐臥
永遠の少女:
退屈な授業中、何度時計を見ても一向に針は進まない。だけど楽しい放課はあっという間に終わっちゃう! これって誰でもそうなの。それでね、私、考えたの。そして分かったの。人はね、幸福感を感じれば感じるほど年を取るのよ! 老いは幸福の代償なの。退屈は時を止めるの。だから私は永遠の少女。だって私は毎日退屈なんだもの!
哲学する男:(現れた少女には見向きもせず)
善でもない、悪でもない、一体なにが正しいのか。
永遠の少女:(ふわりとした足取りで哲学する男の視界に入る)
正しい事が知りたいの?
哲学する男:
知りたいとしても、お前には分かるまい。
永遠の少女:
あなたは退屈な人ね。だから若くて美しい。
哲学する男:
お前とは違う。お前は考える事を放棄した。だから永遠の少女なのだ。俺は悩み続ける。問いかけ続ける。なぜ善でないのか。なぜ悪などという相反する物まで与えられたのか。正しさはどこにあるのか、とな。
永遠の少女:
同じことよ。あなたと私は同じ。あなたは永遠の少年。だからそんな事を考えるのよ。
愛を知る女:(むくりと半身をあげて)
愛よ! 愛が足らないの! あなたは愛を知るべきなんだわ!
永遠の少女:
あれは誤魔化し。いつもの女の手。騙されてはダメ。
愛を知る女、再び横たわる。