小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

白波瀬編

INDEX|5ページ/19ページ|

次のページ前のページ
 


 言いたい事を言いきって、しばらく私の涙に付き合ってくれた後、ふいに白波瀬さんが言葉を紡いだ。

『……港区に吾妻屋という洋紙店があります』
「え?」
『そこなら僕の名前を出せば、葉月さんの望みの物が手に入ると思います』
「え? どうして? え?」

 急にそんな事を言われたので、思わず頭が混乱してしまう。港区の吾妻屋?

『行ってみて下さい。僕から連絡を入れておきますので』
「あ、有難うございます! でもどうして……?」
『罪滅ぼし、ですかね……』
「罪滅ぼし?」

 鸚鵡返しに問い返してみたけど、電話越しの白波瀬さんは自嘲気味に笑っただけだった。罪滅ぼしって一体どういう事?

『おっと、こんな話していていいんですか? 早く行かないと行けないんじゃ?』
「そ、そうでした! 本当に有難うございます! 行ってみます!」

 電話の向こうの相手に向って勢いよく頭を下げると、私はダッシュで駅に向かった。
 よく分らないけど、もうそこが最後の砦だわ!


作品名:白波瀬編 作家名:有馬音文