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御影山編

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 休みをもらった翌日。私はやはり疲れが溜まっていたのか今までの無理がたたったのか、熱を出して寝込んでしまった。
 ぼーっとする頭と視界で、ベッドサイドの目覚まし時計をたぐり寄せると、時間は昼の12時になろうとしていた。 

「お腹空いたな……」

 でも、きつくて起き上がるのが面倒。
 ―――なんだかまた眠たくなってきちゃった……
 薄らいで行く意識の奥、無遠慮なチャイムが私の睡魔を一気に消し去った。

 ピンポン ピンポン ピンポン!

 !?

 こ、この近所迷惑も顧みないチャイムの音は、まさか―――

「は、はい……」

 のっそりと起き上がり、恐る恐る玄関を開ける。
 と、

「まだ寝ていたのか?」
「―――御影山社長……」

 やっぱり! ていうか、どうして社長がうちに!?
 熱でうまく働かない脳みそを回転させ、目の前にいるアパートに似つかわしくない高級スーツ姿の社長を見つめて一生懸命考えてみる。でも、やっぱりどうして社長がここにいるのか理解出来ない。
 あれ? 今日って休んでいいって言われた……よね? それとも何かやっぱり失敗してたのかしら?
 ぐわんぐわんと目眩がし出して、私はふらりとよろけた。

「おっと……なんだ、熱があるのか」

 そう言って社長は私の肩を支え、当たり前のように上がり込む。
 私は社長に連れられてベッドへ座ると、隣りに腰を降ろした社長をもう一度見つめた。

作品名:御影山編 作家名:有馬音文