御影山編
7
休みをもらった翌日。私はやはり疲れが溜まっていたのか今までの無理がたたったのか、熱を出して寝込んでしまった。
ぼーっとする頭と視界で、ベッドサイドの目覚まし時計をたぐり寄せると、時間は昼の12時になろうとしていた。
「お腹空いたな……」
でも、きつくて起き上がるのが面倒。
―――なんだかまた眠たくなってきちゃった……
薄らいで行く意識の奥、無遠慮なチャイムが私の睡魔を一気に消し去った。
ピンポン ピンポン ピンポン!
!?
こ、この近所迷惑も顧みないチャイムの音は、まさか―――
「は、はい……」
のっそりと起き上がり、恐る恐る玄関を開ける。
と、
「まだ寝ていたのか?」
「―――御影山社長……」
やっぱり! ていうか、どうして社長がうちに!?
熱でうまく働かない脳みそを回転させ、目の前にいるアパートに似つかわしくない高級スーツ姿の社長を見つめて一生懸命考えてみる。でも、やっぱりどうして社長がここにいるのか理解出来ない。
あれ? 今日って休んでいいって言われた……よね? それとも何かやっぱり失敗してたのかしら?
ぐわんぐわんと目眩がし出して、私はふらりとよろけた。
「おっと……なんだ、熱があるのか」
そう言って社長は私の肩を支え、当たり前のように上がり込む。
私は社長に連れられてベッドへ座ると、隣りに腰を降ろした社長をもう一度見つめた。