御影山編
「あの、もしかして白波瀬さんってうちの社長とお知り合い……ですか?」
「えっ?」
「いえ、すごく驚いてるから、ご存知なのかなぁって」
「いえっ、知っているというか、この業界じゃ有名ですからね。御影山社長は」
「そうなんですか?」
「ええ、若いけどかなりやり手の社長だって」
「はあ」
あの切れ長の目を思い出しながら、私はふうとため息を吐いた。
「あの、もし良かったら僕がお手伝いしましょうか?」
「えっ!? 白波瀬さんがですかっ!? どうしてっ!?」
びっくりした〜! 何でそんなこと言い出したのかしら? もし手伝ってもらえるなら嬉しいけど……って、他の会社の人にお願いなんてして良い訳ないじゃない! 何考えてるのよ、私っ!
ブンブンブン!
勢い良く頭を振る。
「お気持ちは嬉しいんですけど、他の会社の方に手伝いをしてもらうのは……」
「あっ、もちろん直接手伝う事は出来ませんけど、アドバイスくらいなら出来ると思います。どうですか?」
どうですかって、そんな爽やかに言われても……
「無理にとは言いませんよ。―――あ、やっぱり今の取り消して下さい。どうせ僕の会社は弱小だし、葉月さんのように優秀じゃないし、逆に足手まといになるかもしれないですもんね。あははは」
「そんなっ」
「でも、何か愚痴とかある時はいつでも電話でもメールでもしてください。僕で良ければお話聞きますよ。話すだけでもちょっとはすっきりするでしょ?」
「白波瀬さん……ありがとうございます!」