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御影山編

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「葉月さん、大丈夫だった!?」
「はい、あの、お騒がせしました」

 秘書室に戻ると、二人が心配そうに顔を覗きこんで来る。
 背が高くて綺麗な人が和田さんで、小柄で可愛らしい人が田村さん。

「良かった〜。社長があんな顔して入って来るからびっくりしちゃった」

 と、和田さん。そうよね、私もいつもより1.5倍増しで怖かったもん。

「御影山社長、先代の上にあぐらをかいて社長に座ったって思われたくないから、自分にも他人にも厳しいのよね」
「でも女の人をあんなふうに引っ張ってるのなんて、見た事無いけど」
「えっ? そうなんですか?」

 怒って怒鳴りつけそうなイメージが勝手にあるけど、暴力とかはさすがにしないよね、社長だし。ってか、見た目は冷たくて怖そうだけど、手を上げるほど横暴じゃなさそう。
 ん? じゃあなんで私はひっぱられたの? そんなに酷い顔が許せなかったって事かな?

 悩んで頭を捻っていると、田村さんが笑った。

「大丈夫よ、殴ったりは絶対にしない人だから。怖そうだけど紳士なのよ、社長は」

 あ、そうね紳士。うん、鬼だけど確かに紳士―――って、人の家に勝手に上がり込んで叩き起こして2分で用意しろって言う人のどこが紳士なのよ! 
 
「きっと葉月さんの事気に入ったのね」
「まさか!」

 なんだか二人とも年上の優しいお姉さん。って感じで良かった。これなら分からない時も色々教えてくれそう。川島さんといい、和田さん田村さんといい、社長以外のこの秘書室はほんわかだわ。

 その後、私は真新しい机に座り、田村さんに教わりながら簡単な仕事内容をメモして行った。
 基本的には社長宛の郵便物のチェックや電話の応対、自社や取引先からの報告などの資料作成。そして社長から社員や取引先への通達がお仕事。社長自らが行なう仕事のスケジュールは、その中から川島さんがチェックして社長に伝えるみたい。社長の仕事って結構面倒なのね。


作品名:御影山編 作家名:有馬音文