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明月院編

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 新作発表会後、リップグロスは大ヒットすることになった。その後なんと私は正式に美成堂の社員に採用され、晴れて大学卒業と同時に美成堂の新入社員となった。
 卒業するまでの間も会社に出社して、相変わらず研修を受けていたからもうすっかり慣れたもの。
 残念ながら明月院さんは本格的にクラシック音楽をやるために会社を辞めてしまって、音楽制作部は新しい作曲者を採用し、私を含めた3人で楽しくやっている。

「お先に失礼します!」
「おつかれ〜」
「お疲れさまー」

 今日も一日の仕事を終え、私は音楽制作部を出てカレンの元へ急いだ。

「カレン〜!」
「お疲れさま、水那」
「メイク! メイクお願いっ!」
「分かったわよ〜。そんなに焦らなくてもちゃんと準備して待ってたんだから。さ、座って」
「ありがとう! でも時間がね、あんまりないのっ!」

 私は今日、明月院さんのコンサートを観に行くのだ! 元々ネームバリューのあった明月院さんだけど、クラシックの世界でも最近では評価がすごく上がってきていて、今日のコンサートはチケット発売からわずか3日で完売という、とんでもない事になっている。
 忙しい合間にたまに連絡をくれるんだけど、それから何か進展があったかと言われれば何も無く……。私はただ明月院さんに片思いをしている、って感じ。

「はあ」
「やだ。ため息なんか吐いちゃって、駄目よ、可愛い顔が台無しになっちゃうわ」
「あはは」
「はい、できた!」
「ありがとカレン〜! 大好き〜!!」
「さ、行ってらっしゃい」
「うん!」

 カレンに送り出され、私は急いでコンサート会場へと向かった。
 このコンサートも、本当は自分でチケットを取って行きたかったんだけど、発売前に明月院さんがプレゼントしてくれたのよね。こういう所、すごく優しいし気遣いが嬉しかったりするんだけど、余計に明月院さんが私の事をどういう風に思ってくれてるの分かんなくなって困る。

作品名:明月院編 作家名:有馬音文