明月院編
モデルさんたちによるデモンストレーションが終わり、次は各メーカーによる商品説明が始まろうとしていた。
本当に明月院さんの演奏は素晴らしかった。会場中が明月院さんの演奏に聞き入っているのが分かったもの。でも、次は私の出番―――
「情けない顔をするな、堂々とプレゼンすればいいんだ」
「そんな事言うなら社長が説明してください!」
「バカか? 俺がそれをやったらお前を連れてきた意味がなくなるだろう? なあ、明月院」
「え?」
私の後ろを見ている社長の視線を辿って振り返ると、そこには明月院さんが立っていた。
「お、お疲れ様です、明月院さん」
「別に、疲れてない」
「そうですか……。あの、とっても素敵な演奏でした」
「社長、さっきそこであいつに会った」
私の言葉は完全に無視されちゃってるみたいだけど、あいつって誰だろ?
「あいつ?」
「それはもしかして、僕のことかな?」
社長も同じ事を思ったみたいだけど、その後に聞こえてきた声。この声、どこかで……
「―――なんだ、お前か白波瀬」
「……えっ!?」
えっ!? 嘘、白波瀬さんっ!?
私は慌てて白波瀬さんに顔を向けた。
「しっ、白波瀬さんっ!!」
「こんばんは、葉月さん」
やっぱり白波瀬さんだ!
驚きと嬉しさで白波瀬さんに近寄ろうとした私の腕を、社長が掴んで引っ張られてしまった。