明月院編
***
明月院さんが一人で曲作りの作業に集中している間、私はカレンと一緒に広告用の写真撮影を見学させてもらっていた。
モデルさんがメイクして衣装を着けると、本当にとっても綺麗!
「どうだ?」
後ろからやってきたのは御影山社長。カレンに様子を尋ねてる。
「んもう、ばっちりよ!」
と、丁度ドアが開いて明月院さんが入って来ると、社長にCD−Rを渡した。
「全部出来ました」
「そうか、よくやった。おい、市来!」
CDを受け取り、写真を撮っていた市来さんを呼ぶと、社長はそのCDを市来さんに手渡す。
「これを流しながら撮影してみてくれ」
「おっ、出来立てほやほや?」
チラリと明月院さんを見てニヤリと笑うと、すぐにCDをセットして再生を押した。
流れてきた音楽に、その場にいた誰もが目を見張った。もちろん私も!
モデルさんたちも音楽に合わせてリズム良く動き、笑顔でポーズを決めて行く。
「カッコいい!」
思わず私が言うと、カレンも嬉しそうに頷いた。
「ええ、素敵ね!」
本当に素敵だ。どんどん新製品が形になって行って、嬉しさと楽しさが膨らんで行く。
と、
「そうだ、葉月」
「はい」
急にこちらを振り返った社長に、私は視線を合わせる。