市来編
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「はあ〜。楽しかった! 白波瀬さんって物腰が柔らかいせいかすごく話してて気持ちが穏やかになるなあ。私の話も真剣に聞いてくれるし」
家に帰ってベッドに横になった私は、先ほど白波瀬さんと一緒に過ごした時間を振り返っていた。集中する仕事の後にリラックスして食事が出来たから、明日も頑張ろうって気持ちになる。
ゴロリと反対に寝転がると、ふいに市来さんの呆れた顔が脳裏に浮かんだ。頑張ろうって言っても、市来さんの役には全然立ってないよなぁ。そもそも仕事自体が……。
なんて、ダメダメ! マイナスの事を考えてもしょうがない! 市来さんは忙しい人だから、私の事に意識を傾けてくれるわけないんだから……。でも、白波瀬さんがあんな風にきちんと私の話を聞いてくれると、自然と比較してしまう。ダメなのは私自身なのに……。嫌なやつだな、私って。
落ち込んでもしょうがない! とにかくやれるだけの事はやらなくちゃ! お話を共有できる白波瀬さという存在にも恵まれたんだし。
うん、今日は早めに寝よう! 明日もクマ作って出社はさすがに笑えないもの。
よーし、精進あるのみ!