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春日編

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 美容部に到着すると、今度はカレンに怒られた。
 すぐに椅子に座らされ、私が施したメイクを落とし、手際良く顔を作って行く。

「ごめんね、カレン」
「あたしに謝ってどうするのよ! そんな顔じゃ営業回りなんて出来ないわよ! うちは化粧品会社なのよ!」
「さっき春日さんにも同じ事言われた……」
「そりゃそうでしょうね。もう、じっとして!」

 決まりが悪くてもじもじしていた私の顔をぐい! と掴んであげると、カレンは少し怒ったような呆れたような顔でメイクを続けた。
 本当にごめんね、カレン。

「メイクは終わった?」

 入り口から声がして、美容部の人が返事をする。

「もうすぐ終わります」
「少しは見れる顔になったみたいだけど」

 鏡越しに私の顔を見て春日さんが呟く。

「あと10分で出るよ。僕たちは先に駐車場に行ってるから、早く来てよね」
「はい!」

 そして美容部の女性2名と一緒に、部屋を出て行った。

作品名:春日編 作家名:有馬音文