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春日編

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 翌朝、私は会社に出社して背筋が凍り付いた。
 何故なら、春日さんが今朝早く倒れて病院に運ばれたと言うのだ!

「そ、そんな。春日さん、大丈夫なんですかっ!?」

 同じ営業部の人に詰め寄る。けど、誰も詳細は分からないらしい。
 ど、どうしよう! 今日も営業のはずなのに、春日さんいないなんて! 他の人が代わりに行くの? いや、そうじゃなくて、春日さん大丈夫なの!?
 頭の中は混乱しっぱなし、誰に助けを求めたら良いかも分からない。部長? そうだわ、営業部には部長っていう偉い人がいるじゃない!
 私は急いで部長の元へ行く。

「おはようございます、部長。あの、春日さんが病院に運ばれたと聞いたのですが……」

 私はどうしたらいいでしょうか?
 と尋ねる前に、こちらも随分慌てた様子の部長が私の顔を見て両肩を掴んだ。

「葉月君。きみ、急いで病院まで行って春日の様子を見て来てくれ!」
「はっ!?」
「今日君達が行く予定の取引先はかなりの大手なんだ。春日がいないとまずい! 様子を見て、行けそうなら引きずってでも連れて行ってくれんか!?」
「そんな! 無茶苦茶です! と、取りあえず病院に行ってきます!!」

 酷いわ部長! 倒れて病院に運ばれた春日さんより、取引先との契約の方が大事だって言うの!?


作品名:春日編 作家名:有馬音文