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春日編

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「はあ〜。楽しかった! 白波瀬さんって物腰が柔らかいせいかすごく話してて気持ちが穏やかになるなあ。春日さんの後に会ったから余計かな」

 家に帰ってベッドに横になった私は、先ほど白波瀬さんと一緒に過ごした時間を振り返っていた。緊張する仕事の後にリラックスして食事が出来たから、明日も頑張ろうって気持ちになる。
 ゴロリと反対に寝転がると、春日さんの怒った顔を思い出す。
 なんて、ダメダメ! 仮にも上司に対してそんな事考えちゃ! ……でも、本気で私の事嫌いっぽいもんなあ。

「―――やめよ、嫌われてるのは事実だし、まだ何も出来ないのも事実だもん。絶対、私に出来る営業を考えて身につけるんだから。そして春日さんに新製品がヒットしたら『頑張った』って言ってもらうんだから! それにはまず私に出来る事よね、私の得意な事、得意な事……元気? かな?」

 元気って得意とは違う気がする。取り柄? いや。取り柄でもいいや。何か取っ掛かりがないと進めないもんね。でも元気を営業に活かすってどうすればいいんだろ? もっと商品についての知識が必要だな。そして春日さんみたいに会社の商品を信頼して、相手の人が安心して売りたいと思ってくれるようなアプローチをしなきゃ。
 って、また色々考えてる! また寝不足で怒られちゃうよ、早く寝てコンディションを整えなきゃ。
 よーし、明日も頑張るぞ!



作品名:春日編 作家名:有馬音文